近年、中国のREDでは、スポーツアウトドア領域の投稿が大きく伸びています。中でも注目したいのが、ロードサイクリングです。RED上では、サイクリングが単なる運動ではなく、「景色」「装備」「コーデ」「感情解放」「都市探索」を組み合わせたライフスタイルとして広がっています。
2025年9〜11月のスポーツアウトドア関連データを見ると、ロードサイクリングは人気話題の中でも上位に入り、総閲覧数は約1,900万規模に達しています。関連話題には、ロードサイクリングヘルメット、ロードサイクリングコーデ、ロードバイク、サイクリングウェア、シューズなどが並び、単に「走る」だけでなく、装備や見た目、写真の撮り方まで含めて関心が広がっていることがわかります。

出典元:第三者RED分析ツール
この市場が面白いのは、サイクリングが本格的な競技層だけのものではなくなっている点です。REDでは、長距離を走る達成感や専門装備の紹介だけでなく、「都市生活のストレスから離れる」「週末に少し遠くへ行く」「風を感じながら気分転換する」といった情緒的な投稿も目立ちます。つまり、サイクリングは“運動”であると同時に、“気分を整える体験”として一般人に大いに受け入れられ始めています。
また、投稿者の構成を見ると、旅行・お出かけ系のクリエイターが多く参加している点も特徴的です。これは、サイクリングがスポーツ領域だけで完結していないことを示しています。走るルート、立ち寄るカフェ、途中で見る景色、写真を撮る場所、持っていく補給食や装備まで含めて、ひとつの“お出かけコンテンツ”として消費されているのです。



特にREDでは、女性ライダーの存在感も高まっています。人気投稿の中には、女性ライダーによる高品質な写真やVlog、装備紹介、ライドコーデの投稿も多く見られます。従来の「速さ」や「距離」だけでなく、「かっこよく走る」「きれいな景色の中で撮る」「自分らしいスタイルで楽しむ」という見せ方が広がっていることは、ブランドや観光地にとっても大きなヒントになります。


この流れは、日本の訪日市場とも相性が良いと考えられます。日本には、都市近郊の川沿いルート、湖周辺、海沿いの道、山間部、島旅、温泉地周辺など、サイクリングと組み合わせやすい場所が数多くあります。たとえば東京近郊であれば、多摩川、多摩湖、荒川、江戸川など、日帰りでも走りやすいルートがあります。地方であれば、瀬戸内、しまなみ海道、北海道、長野、山梨、九州など、景色と走行体験を組み合わせられるエリアも多く存在します。
実際に、中国人ユーザーによる日本でのサイクリング体験投稿も見られます。たとえば、多摩湖から多摩川方面へ走る途中で、忘れ物をして交番に届けられていたという体験を、ユーモアを交えてREDに投稿する例があります。このような投稿は、単なるルート紹介ではありません。日本のサイクリング環境、治安の良さ、交番文化、道中の小さなトラブルまで含めて、「日本で走る体験」として共有されています。


ここで重要なのは、訪日サイクリングの魅力が、必ずしも有名観光地だけで作られるわけではないという点です。むしろ、中国人サイクリストにとっては、普通の川沿い、ローカルな公園、コンビニでの補給、交番での対応、道中の風景など、日本人にとっては日常的なものが新鮮な体験として映る可能性があります。
そのため、日本側が中国向けにサイクリング市場を狙う場合、単に「絶景ルートがあります」と紹介するだけでは不十分です。REDで伸びやすいのは、実際に走る人の目線で、ルート、装備、休憩、写真スポット、補給、失敗談、便利情報まで含めたリアルな投稿です。特に「このルートは初心者でも走れる」「この時間帯がきれい」「ここで写真を撮ると映える」「コンビニ補給がしやすい」「レンタサイクルで行ける」といった情報は、訪日客の不安を下げ、行動につながりやすくなります。
ブランドにとっても、サイクリングは自然に商品を紹介しやすい領域です。ウェア、シューズ、ヘルメット、バッグ、サングラス、補給食、ドリンク、日焼け止め、制汗アイテム、スマートウォッチなど、サイクリング中に必要な商品は多くあります。ただし、二ッチなブランドほど、REDでは商品だけを大きく見せるよりも、「実際のライド体験の中でどう役立つか」を見せるほうが自然に受け入れられます。
たとえば、「多摩川を走る日の軽装備」「東京近郊サイクリングの補給セット」「日本のコンビニで買えるライド中の補給」「女性ライダー向けの日焼け対策」「冬の川沿いライドで必要だった防寒アイテム」といった切り口にすれば、商品紹介でありながら、ユーザーにとっては実用的な攻略情報になります。
ここで鍵になるのが、適切なインフルエンサーの選定です。単にフォロワー数が多い人を起用するのではなく、実際にサイクリングをしている人、ルート紹介が得意な人、写真や動画の質が高い人、女性ライダーや都市アウトドア層に届く人など、目的に合ったクリエイターを選ぶ必要があります。サイクリング市場では、広告感の強い投稿よりも、「本当に走った人の記録」に見える投稿のほうが信頼されやすいからです。
中国のスポーツアウトドア市場は、今後も細分化していくと考えられます。ロードサイクリング、シティジョギング、親子スキーのように、それぞれの領域で「運動+ライフスタイル+旅行+装備」の組み合わせが生まれています。特にサイクリングは、訪日旅行との接続がしやすく、日本側にとっても大きな潜在市場です。
これからの訪日インバウンド施策では、観光地を紹介するだけでなく、「その場所をどう体験するか」まで設計することが重要です。中国人サイクリストに向けて、日本で走る楽しさ、安心感、ルートの美しさ、補給や買い物のしやすさを自然に伝えることができれば、サイクリングは単なる趣味ではなく、訪日の新しい動機になる可能性があります。
当社では、REDを中心とした中国SNS分析、スポーツアウトドア領域のトレンド調査、インフルエンサー選定、訪日向け投稿企画の支援実績があります。中国のサイクリング市場やアウトドア消費を訪日誘客・商品PRに活用したい場合は、ぜひお気軽にご相談ください。