2026年11月1日から、日本の外国人旅行者向け免税制度がリファンド方式に変わります。

新制度では、旅行者はいったん消費税込みの金額を支払い、店頭で免税購入の手続きを行います。出国時に空港や港の税関で、購入した商品を国外へ持ち出すことが確認された後、免税店や委託事業者から消費税相当額が返金される仕組みです。空港でレシートを見せれば、その場で誰でも返金を受けられるわけではなく、購入時に免税店で登録しておく必要があります。

こうした制度改正を前に、米国発のトラベルテック企業、Pie Systemsが、三井アウトレットパーク 倉敷と隣接するアリオ倉敷の免税手続きを一括して行う合同型カウンターPIE VAT Stationを開設しました。参加店舗は個別に複雑な免税手続きや多言語対応を行う負担を抑えながら、二つの施設をまたいだ買い物をまとめて処理できるようになります。今回の導入で、同カウンターの導入先は国内26商業施設になったといいます。

PIEは2021年の日本進出以降、旅行者が税込みで商品を購入した後、アプリを通じてキャッシュレスで返金を受けるサービスを展開してきました。今回始まる日本の新制度を5年間先行運営していたということではありませんが、これまで培ってきた返金や本人確認、店舗との精算などの運用経験を、新制度への対応力として打ち出しているわけです。

施設側にとって魅力的なのは、導入費用や利用費用を抑えながら、免税対応をまとめて外部に委託できる点です。一方、PIEの現在の旅行者向け案内では、返金時に税抜購入額の1.5%以上のサービス手数料が差し引かれるとされています。

つまり、施設側の負担を軽くする仕組みであると同時に、その運営コストの一部を旅行者が負担するビジネスモデルでもあります。なお、2026年11月以降の具体的な料金体系が現在と同一になるかどうかについては、今後の正式な案内を確認する必要があります。

旅行者にとっては、複数店舗の買い物をまとめて処理でき、多言語で手続きを任せられる便利さがあります。その一方で、返金額を重視する旅行者から見れば、店舗や施設が自ら返金業務を行い、旅行者から手数料を差し引かないことも、一つの選択理由になるかもしれません。

新制度では、食料品、化粧品、医薬品などの消耗品について、税抜50万円の購入上限と特殊包装の義務がなくなります。ただし、出国時まで商品を所持し、税関から求められた場合には提示できなければなりません。日本滞在中に食べたり使用したりした商品については、持ち出しの確認を受けられず、返金対象にならない可能性があります。また、税抜5,000円以上という免税購入の下限は残ります。

制度改正後、商業施設に問われるのは、単に免税に対応しているかだけではなさそうです。

返金手数料を誰が負担するのか。返金までにどれくらい時間がかかるのか。出国時の手続きや、商品を使用できないことを旅行者にどう案内するのか。

免税DXの便利さだけでなく、旅行者が最終的に受け取る金額と体験まで含めた設計が、施設選びや買い物先の評価を左右することになりそうです。

参考:観光庁国税庁Pie Systems発表資料