ベトナムで7月1日、電子商取引法第122/2025/QH15号と、その詳細を定める政令第248/2026/NĐ-CPが施行されました。ベトナムでEC分野を包括的に扱う独立した法律が制定されたのは今回が初めてです。
これまでECに関する規定は複数の法令に分かれていましたが、新法では、ECプラットフォームや販売者、ライブ配信者、アフィリエイトに関わる事業者など、それぞれの責任が整理されました。外国プラットフォームを含む越境ECについても、独立した章を設け、ルールを明確化しています。
大きな変更点の一つが、販売者の本人確認です。仲介型ECプラットフォームの運営事業者は、販売者がプラットフォーム上で活動を始める前に、本人確認を行う必要があります。プラットフォームには、販売者情報の管理、運営規則の公開、苦情の受け付け、必要な情報の保存、違反の疑いがある店舗・商品・コンテンツへの対応も求められます。
ライブコマースについても、KOLやKOC、インフルエンサーなど、商品を紹介・販売する配信者は、販売配信を始める前に本人確認を受ける必要があります。商品の機能、品質、原産地、価格、保証、供給状況などについて、虚偽や誤解を招く説明を行わないことも明記されました。
アフィリエイトマーケティングでは、広告主や紹介者など各関係者の役割、アフィリエイトリンク、紹介コード、商品・サービスを宣伝する際の責任を明確にすることが求められます。
そのほか、商品情報や取引条件の表示、苦情処理、消費者データの保護、取引記録の管理なども、新たな制度の主要項目となっています。ベトナム政府は、偽アカウントや模倣品、禁止商品の販売、虚偽広告、オンライン上のトラブルを減らすことを狙いとしています。
行政当局は今後、事業モデルや規模、リスクの程度に応じて管理を行い、データやテクノロジーを活用した事後確認を強化する方針です。一方、中小企業や個人事業者、スタートアップに対しては、制度対応のための案内や支援も続けるとしています。
日本企業と現地支援会社が確認したいこと
ベトナムに進出している日本企業にとって、今回の制度変更で注目したいのは、現地法人の出店手続きそのものだけではありません。ライブコマースやアフィリエイトなど、外部パートナーを介した販売活動も対象となります。
現地の販売代理店やKOL、運用代行会社に販売活動を委託している場合は、自社が正式に提供している商品情報と、実際の販売現場で使われている説明にずれがないかを確認しておきたいところです。
特に、商品の機能や品質、原産地、価格、保証などの説明、ライブ配信者の本人確認、アフィリエイトリンクや紹介コードの表示が、現地でどのように運用されているかが確認項目となります。
日本企業から依頼を受け、ベトナムでプロモーションを実施する広告会社や支援会社にとっては、施策が一般的な広告なのか、ライブ販売やアフィリエイトに当たるのかを整理することも重要です。購入リンクや紹介コードを用いる場合や、ライブ配信中に商品を販売する場合は、配信者の確認や商品説明、関係者の役割表示まで含めて運用を確認する必要があります。
これは、日本本社や広告会社に一律の事前審査が義務づけられたという意味ではありません。一方で、販売と結びつく施策については、クライアント、販売事業者、KOL、運用会社の役割を企画段階で確認しておく重要性が高まりそうです。
また、ベトナム政府は、市場の透明性が高まることで、商品やサービス、ブランド、物流、顧客対応に継続的に投資してきた事業者には、競争上のメリットが生まれるとしています。偽アカウントや模倣品、誤解を招く広告への管理が進めば、正規流通や品質、アフターサービスを強みとする企業にとっては、ブランドへの信頼を高める機会にもなり得ます。
出典
出典:Báo Điện tử Chính phủ、ベトナム商工省、電子商取引法第122/2025/QH15号、政令第248/2026/NĐ-CP
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